冷徹なだけでない、頼朝エピソード

政治家としては、冷徹だった源頼朝ですが、人間として冷たい人間だったと判断することは出来ません。

あくまでも政治的に対立する相手や、自分の権力基盤を害いかねない人間に対しては、政治的に排除しますが、頼朝を脅かす人物で無い場合には、人間としての顔を出すこともありました。

例えば、

平頼盛・・・平治の乱で敗れた源頼朝の助命をしてくれた、池禅尼の息子。

平家が都落ちする時に、鎌倉の頼朝の元に行って、頼朝に歓迎され、父親のようにもてなされた。

それ以後も、頼朝に保護されて、所領は守られ、後白河院から播磨、備前の知行権も与えられた。

無事に寿命を全うした。

佐奈田与一義忠・・・岡崎義実の息子。

頼朝の挙兵に参加。石橋山の合戦で奮戦したが討ち取られる。

時は経ち、頼朝が平家を滅ぼした後のこと。

彼が箱根権現や伊豆山権現の参詣途中に、佐奈田与一の墓に立ち寄り、思い出し涙を流したという。

いつも涙を流してしまうので、参詣路を変更した。

山内首藤経俊・・・頼朝の乳母子(めのとご)。乳母子という立場でありながら、石橋山の戦いでは平家方の大庭景親の軍に参戦し、頼朝に矢を放っている。

頼朝を裏切り、当然処刑されるべきだったが、乳母の嘆願により助命している。

他には、父・義朝の乳母と再会した時は、昔話をして涙を流した、と人情家のエピソードもあります。