源頼朝の人身掌握術
源頼朝の興味深い逸話があります。
頼朝が挙兵した時のこと。
共に立ってくれる武士たちを、個別に人気のない所に呼んで、色々と相談の上、
「頼りにしているお前だけだ」
と言葉をかけたという。
武士たちは、自分を特別に気にかけてもらっていると思い、必死になって戦った。
他には、ある酒宴の席上、岡崎義実が頼朝の水干を欲しがり、頼朝はそれを賜った。
しかし、同じ席上にいた上総広常が、それを羨んで2人で口論になった。
頼朝は一切その喧嘩に口を一言も挟まなかった。喧嘩は佐原義連が収めた。
喧嘩を裁定するのに危険を感じたのかもしれません。
これらの話には頼朝の人身掌握術が見て取れる。
そこにつながる話かは分かりませんが、朝廷から無断で官職をもらった御家人達に対し、色々ないい方で罵倒しています。
それぞれに対し、
「目はネズミのようだ」とか
「声がしわがれている」
「髪が薄くて、頭髪が後退してる」
「おおぼらを吹く才能はある」
「色は白くて間抜け顔」
「大井川渡る時、声が震えていたな」
という悪口だが、それだけ一人ひとりの事を、詳しく知っていたともいえる。